CIRCLeとは

CIRCLeとは?

名前の由来

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  CIRCLeは、「小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患を対象とした多施設前向きレジストリ研究」の略称です。

患者さんを取り巻く問題

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 CIRCLeの対象疾患である小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患は世界的に患者数がとても少ない病気で、希少疾患と呼ばれています。


病気の原因究明や治療法確立には、患者さんの症状や検査結果などの「臨床情報」や、血液や尿などの「生体サンプル」などの「試料」を、多くの患者さんから収集する必要があります。

これらの試料をデータ解析することで医学研究が進み、新しい検査法や診断法、治療法が開発されます。

 しかし、希少疾患は患者さんが少ないことに加え、珍しい病気であるがゆえに、きちんと診断されていないこともあり、多くの患者さんの試料を収集することは大変です。

その結果として、研究に必要な試料が揃わず、これらの病気の患者さんがきちんとした診断や十分な治療を受けることができないことが問題となっています。

CIRCLeの目的

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この問題を克服するために、

CIRCLeは「小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患の患者さん」に対して

①病気を正確に診断する(特殊検査の普及・迅速化)

②多くの臨床情報を収集する(レジストリシステム)

③生体サンプルを収集・保管し、研究に速やかに使用できる体制を整える(バイオレポジトリ)

を目的として設立されました。

国内外の状況

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こういった取り組みは、既にイギリスやアメリカでは開始されており、実際に研究成果も出始めています。

しかし、それぞれの疾患には日本人特有の要素(遺伝要因、環境要因など)が多くあることから、日本でも独自のシステムを構築することが重要でした。


 日本国内でも、難病研究に関心が寄せられつつあり、2015年1月に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」では、難病患者さんに対する医療助成、データの収集、調査及び研究の推進等が制度化されました。

このように国内外で難病患者さんの情報を集約し研究に役立てる動きが活発化しています。こういった国内外の動向を受けて、2021年1月にCIRCLeは誕生しました。

CIRCLeの実施内容

特殊検査の実施

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特殊検査の普及・迅速化

小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患の診断をするためには特殊検査(*)が必要ですが、これらの検査は保険収載されておらず、限られた医療・研究機関でのみ実施されているため、患者さんの中には特殊検査の存在を知らない方もいます。

 CIRCLeでは、これまでそれぞれの医療・研究機関で個別に行われていた特殊検査を集約・一元管理します。これにより、より多くの特殊検査を必要としている患者さんに受けていただくことが可能になります。

 さらに将来的には、検査結果の精度向上や検査期間の短縮が実現できると考えております。


(*)小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患に対する特殊検査の実施施設
【網羅的遺伝子検査】
 ・名古屋市立大学 小児科
 ・筑波大学 小児科
【小児肝臓病理検査】
 ・久留米大学 医学部病理学講座
【胆汁酸分析】
 ・順伸クリニック胆汁酸研究所
【Omics解析】
・東京大学 大学院薬学系研究科 分子薬物動態学教室

レジストリシステムの運用

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レジストリシステムの運用

CIRCLeの対象疾患はいずれも希少疾患であるため、患者さんの症状や検査結果などの「臨床情報」はとても貴重です。

 CIRCLeでは、米国Vanderbilt大学が開発したデータ集積管理システムであるREDCapを使用して、患者さんの情報を収集します。この情報収集システムをレジストリシステムと呼びます。

 REDCapの特徴は、オンラインでどこでも情報を入力できることに加えて、IT専門家でない人でも簡単に操作できるように工夫されていることです。また、医学研究用に開発されているため、世界標準の安全性を備えたデータ収集システムでもあります。

 REDCapによって集められた患者さんの情報を元にして、今後様々な医学研究が行われ、画期的な検査法や診断法、治療法が開発されることが期待されます。


CIRCLe参加施設の一つである順天堂大学は、Vanderbilt大学とREDCapのライセンス契約を締結しています。CIRCLeは本ライセンスを活用して運営します。

バイオレポジトリの設立

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バイオレポジトリ の設立

CIRCLeの対象となる疾患はいずれも希少疾患であるため、患者さんの血液や尿などの「生体サンプル」はとても貴重です。

 CIRCLeでは、各病院から送られた貴重な生体サンプルを適切に保管・管理します。この管理システムをバイオレポジトリと呼びます。
 
 バイオレポジトリに集められた生体サンプルを元にして、今後様々な医学研究が行われ、画期的な検査法や診断法、治療法が開発されることが期待されます。

 なお、患者さんから集められた貴重な生体サンプルが悪用されないように、使用される前には十分な医学倫理審査が実施されます。

CIRCLeに参加するメリット

きめ細やかな健康管理

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きめ細やかな健康管理

 CIRCLeに参加されている患者さんは、半年ごとに担当医師が健康状態を伺ったり、採血や診察のため医療機関を受診していただくことになるため、あなたの健康状態をよりきめ細やかに診療させていただきます。

日本人に合った医療の提供

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日本人に合った医療の提供

小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患に関わる日本人特有の要素を解明するためには国レベルでの日本人データ収集システムが必要です。

 CIRCLeでは日本人データを幅広く収集し、医療従事者や研究者と共有します。海外データとの比較により、日本人に合った医療の提供につながる可能性があります。

疾患の最新情報の入手

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疾患の最新情報の入手

 CIRCLeは小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患の専門家集団により運営されています。小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患に関する最新情報が国内外から集まりますので、CIRCLeに参加することで、医療機関などから小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患に関する最新情報を受取りやすくなります。また、同じ疾患の他の患者さんとつながる機会が増えるかもしれません。

臨床試験・治験に参加する機会の増加

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臨床試験・治験に参加する機会の増加

 現在、世界中で小児期発症の胆汁うっ滞性肝疾患やその人の体質に合った治療法の研究が進んでいます。CIRCLeへの登録が進むことで、それぞれの患者さんに合った治療法開発に関わる機会が増える可能性があります。

新規検査法・治療薬などの開発

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新規検査法・治療薬などの開発

より多くの患者さんの臨床情報を収集し、医療従事者や研究者が共有することで、これまで分からなかった疾患の原因や症状の理解が進み、それが新しい治療法の開発、今後の症状の予測につながる可能性があります。

 また、新しい解析手法を用いた研究、新たな要因を解明する研究を行うには、生体試料の収集に時間とお金がかかりますが、あらかじめ多数かつ多様な患者さんからの生体サンプルを収集し保管することで、研究が計画された時にただちに研究を実行することができるようになります。